個人情報を市職員がどのように覗いているか    2012年3月の調査 

きっかけ

「おかしいんですよ。市の職員が私の個人情報を知っているんですよ」そういう話を市民からいくつかお聞きしたことがある。おかしいな、と思ってきた。

私たちは自分の個人情報、たとえば勤め先・収入・世帯の家族構成・保険・納税・固定資産など、実に様々な情報を市に預けてある。それは市の業務に必要だからであり、業務外で勝手に覗くことは許されない。しかし違法に覗いている職員がいるとしたら…?

調 査 方 法

そこで個人情報保護法に基づき情報開示を申請し、(これは個人情報なので本人にしか開示請求ができない)住民基本台帳のひだ紀子のデータに市職員がどのようにアクセスし、見ているか、を調べた。この記録を「アクセスログ」という。

これが私の個人情報への「アクセスログ」である。数字と記号の羅列である。何が何だかわからない。担当課からコード表をもらい、読み解くことにした。オペレータナンバーも記録されているので、どの職員が見たか、も分かる。2004年~2010年までの7年分なのでかなりの量だった。

 

調 査 結 果

1、7年間で80件のアクセスがあった。1回閲覧して終わっているものもあれば、何年もさかのぼって私の個人情報の画面を何度も何度も見ているものも。

2、5つの課からのアクセスがあった。市民課、市民税課、保険年金課、高齢介護課、資産税課である。私は読み解いたアクセスログを持って、これらの課を回り、それぞれ何の目的で個人情報にアクセスしたのか説明を求めた。

3、納得できないものがいくつも出てきた。 一つは、高齢介護課からの6件のアクセス。私が市議会議員に立候補する寸前の2007の冬から突然見始めている。私は介護保険を利用する年齢ではない。高齢介護課の閲覧要件を調べたが、全く当てはまらない。覗いていたのは、当時の高齢介護課長であった。かなり執拗に覗いていた。時期から言って突然出てきた候補者である私の情報を誰かに流したのかもしれない、とも考えられる。

また市議になってからも高齢介護課のほかの職員が覗いていた。その時期、私は市議会で、青梅市の要介護度の判定が十分な検討なしに行われ、結果として軽い要介護度の判定が多かったのではないか、と追及していた。(他市では個人の事情をよく検討し、重度変更がしばしば行われていた。しかし青梅市はそれが本当に少なく、26市中最低だった) 嫌な質問を重ねる議員がどんな奴かを覗いていたのだろうか。

もう一つは、資産税課からのアクセス。当時私は、税金を払うような固定資産というものを持っていなかった。固定資産税とは無縁なのに、4件のアクセス。これも閲覧の該当要件に私は入っていない。目的が不明の住民記録照会業務という名目のアクセスだった。

4、各担当課にこうしたアクセスはどういう業務でおこなったのか、質問票を作り、問い合わせた。高齢介護課・資産税課は答えることができなかった。

5、議会で3回にわたり、取り上げ、市に調査を要求した。市はとうとう(その頃は途中退職していた)元高齢介護課長を呼び尋ねたそうだが、「思い出せない」という以上の答えは得られなかったそうである。

今 後 の 方 策
市民の個人情報を市役所職員がかなり気楽に覗いている様子は十分に見えてきたと思う。市は納得のいくような説明はとうとうできなかった。本来は懲戒処分の対象だと考えるが、証拠不十分ということか、それもしなかった。

皆さんも疑問を抱いたら、ぜひアクセスログを開示請求して調べてみてほしい。立川市、羽村市などではアクセス記録は一目でわかる形で公開している。業務名と担当課、その端末を操作した人の名前、処理名など詳しくわかる。それが本来のやり方であろう。

しかし、青梅市では、アクセスログは数字とコードの羅列のまま公開だ。わざわざコード表を見て市民が読み解くという大変な手間がかかる。青梅市のやり方は、不完全な情報公開と言える。市民の知る権利を大切にする姿勢ではない。改善が必要である。その前に首長や市の幹部の意識改革が必要でしょうね。