里山の危機はなんといってもいい水辺がなくなってきた、ということ。昔は田んぼで水辺の環境が確保されてきたが、昭和30年代からは毒性の強い農薬がばんばん使われ、水辺の生物は大打撃を受けた。その次は谷戸の田んぼを耕作する人が減って、田んぼは草におおわれ開放水面がなくなり、やがて干上がっていく。こうしてカエル・トウキョウサンショウウオ・トンボたちは産卵の場を失いつつある。特にカエルはほかの里山動物のえさにもなっているから、食物連鎖に深刻な影響が出てくる。なにより「かわいいカエルの姿をもっと見たい!」というわけで、「カエル池を掘ろう」と思い立った。ドイツ語由来の「ビオトープ」を作ろうというわけ。
ある谷戸田あとの持ち主から許可を頂き、11月のとある日、8名が集まり、スコップを握った。まず湧き水の出口を探す。水はたまって、なおかつ循環して、さらへ下へと出て行かなくてはならない。かつてのお百姓さんたちは粘土をかついで田んぼに運び込み、止水層を作っている。これに穴を開けるとそこから漏れていって水はたまらないから、注意深く掘り進む。昼までに大小二つの池を掘ることができた。大満足。強風の日だったが谷戸は風もなく作業にちょうど良い暖かさだった。8人いなかったらこんなにもスムーズに仕事は進まなかった。皆さん、お疲れ様!!昼ごはんの豚汁がおいしかったのは言うまでもない。
一週間後、水のたまり具合を見に行く。ちょうどいい具合に溜まっているではないか。来年の春、カエルやトウキョウサンショウウオが続々やってきて卵を産むだろうと思うとワクワクしてくる。