第1、要旨
1、請求人が平成20年度の政務調査費を調査したところ、以下の支出が政務調査費として認められないものでした。そこで当該議員より返還させるよう市長に求めます。
(1)荒井紀善議員は、「事務用品」としてICレコーダーを購入し、6,580円を支出しています。これは個人の資産形成となりうるもので、青梅市議会政務調査費の手引きでも「個人の資産形成となる備品の購入等に要する経費」は政務調査費の充当が不適切な事例として挙げられています。
(2)荒井紀善議員は、「事務用品」として「新聞掛け」を購入し、3,780円を支出しています。政務調査にどうしても必要なものとは言い難く、(1)と同様これも個人の資産形成となりうるものです。
(3)荒井紀善議員は、「書籍」として以下を購入し91,493円を支出していますが、個人の一般的趣味、嗜好、思想、教養あるいは選挙活動のためのものであり、政務調査費を充てるべきものではありません。
・「朝の誓い」 1,500円
・「倫風随想」 1,300円
・「婦人画報6月号」「クマの畑をつくりました」2,780円
・ギジー (「市町村財政分析」と領収書が一つになっている)980円
・「私たちの手話1?5」 5,198円
・「教育新興」 1,300円
・「倫理が開く君たちの未来」600円
・「毒箭」 5,775円
・「鱒の森No.1」 1,890円
・「記憶の中の源氏物語」 3,990円
・「ふたつの川」 2,625円
・「海の武士道」 1,680円
・「告白」 1,470円
・「倫風誌20年4月号?21年3月号」3,600円
・「デジタウン青梅」 27,300円
・「広辞苑」 12,600円
・「色」「東北道路地図」「美術大鑑」「日本語源大辞典」計16,905円
(4) 荒井紀善議員は、姉妹都市ボッパルトへ友好訪問をした費用のうち、航空券代等のうち1/4に当たる36,497円を「調査費」として政務調査費より支出した。しかし友好親善活動と議会のための調査とは区別するべきであり、必要があって計画を立て自ら具体的な準備をもって視察に臨むべきであると考える。政務調査費から支出することは認められない。
議会事務局からかつて全国都道府県議会議長会の事務局におられた野村稔氏に海外への視察に関する見解を問い合わせたが、その回答もほぼ請求者と同じ考えであった。
(5)荒井紀善議員は、「市政報告会」を開き、「お茶代」6,000円「はがき代」67,400円を支出したが、案内チラシを見ると「衆議院議員井上信治&市議会議員荒井紀善と語る会」となっている。2人で開いたものならば費用負担も折半すべきである。
(6)荒井紀善議員は、東京都議会自由民主党「たばこ議員連盟総会」に出席する交通費として1900円を支出したが、会の次第などを見ると政治活動・政党活動の一環であり、政務調査費からの支出は認められない。
(7)荒井紀善議員は、北海道釧路市で開かれた「第3回全国市議会議長会研究フォーラム」に参加した後、H20年10月16日午後から釧路湿原野生生物保護センターを訪ね、翌17日?18日にかけて「町長選挙を控えた弟子屈町で人に会ったり施設を訪ねたりした。その費用としてゲストハウス「ゆうあん」宿泊代17,430円、レンタカー代24,583円を支出した。しかしこの日程・視察内容には政務調査を使う必然性はなく、政務調査費からの支出は認められない。
(8)荒井紀善議員は、所属する会派青風会の視察旅行に参加し、20,000円の会費のうち、10,000円を研究研修費として政務調査費から支出した。しかしこの会派視察の内容は首相官邸、参議院議長公邸を訪ねた後、山梨県石和温泉に一泊し翌日陸上自衛隊駒門駐屯地を視察したもので、政治・政党活動と親睦のための色合いが強い。これらは政務調査とは厳密に区別すべきであり、政務調査費から支出することは認められない。
(9)荒井紀善議員は「手話講習会受講料」として8,000円を政務調査費から支出している。手話を学ぶ志は良しとしても、議会のための調査に必要な費用とは区別すべきである。また事前に入門コースにも調査費から500円支出していて、どんな講座が開かれているかはそこで十分調査ができたものと考える。よって政務調査費からの支出は認められない。
(10) 島田俊雄議員は、姉妹都市ボッパルトへ友好訪問をした費用のうち、51,497円を「調査費」として政務調査費より支出した。しかし友好親善活動と議会のための調査とは区別するべきであり、また必要があって計画を立て自ら具体的な準備をもって視察に臨むべきであると考える。政務調査費から支出することは認められない。
議会事務局からかつて全国都道府県議会議長会の事務局におられた野村稔氏に海外への視察に関する見解を問い合わせたが、その回答もほぼ請求者と同じ考えであった。
(11)榎沢誠議員は書籍購入代として「古文書講座??期」16,000円、「古事記」1800円を支出したが、個人としての研究のための書籍であり、政務調査費からの支出は認められない。
(12)井村英廣議員は書籍購入代として「明快 選挙法・政治資金法の手引き」10,092円、「モデルスピーチ全集 会社一般用」8,977円を支出した。前者は政治活動、政党活動のためのものであり、後者は政務調査とは関係がない。政務調査費から支出することは認められない。
第2、監査期間について
本件支出は平成20年度ですが、議員による支出報告提出期限が21年4月末、さらに確定まで1ヶ月ほどかかり、さらに文書の公開までは情報公開請求ののち2カ月以上の日数が必要であった。従って監査請求の期限内である。
地方自治法の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を求めます。
平成22年7月30日
監査請求人 飛弾 紀子
青梅市監査委員殿
事実証明書
1 荒井紀善議員 平成20年度政務調査費収支報告書
2 同 政務調査費出納簿
3 同 ICレコーダー受注レシート
4 同 同領収書
5 同 新聞掛け領収書
6 同 書籍領収書
7 同 ボッパルト市訪問記録票・領収書・記録票
8 同 野村稔氏見解
9 同 市政報告会記録票・領収書・案内
10 同 タバコ議員連盟総会参加 記録票 次第書・レジュメ
11 同 釧路における調査活動記録票・領収書
12 同 会派視察旅行 記録票・案内・領収書
6 同 手話講習会領収書
14 島田俊雄議員 ボッパルト訪問記録票・領収書・視察報告書
15 榎沢誠議員 書籍領収書
16 井村英廣議員 書籍領収書
監査請求の期間について
監査請求の期間については通常はその財務行為が行われてから1年間とされています。しかし、政務調査費の場合、議員による報告の期限が4月末、確定が5月末で、その時点で情報公開請求をしたとしても、手続きに通常2週間を要します。さらに資料が膨大なため議会事務局が確認作業をするため情報公開の期間が延長され、実際に閲覧に供するまでの作業時間を入れると約2カ月以上がかかっています。
それらの日数を考慮し、「市民が実質的に知ることができる時期から1年間が監査請求期間」と考えるならば、期間内ということになると考え、今回の請求をしました。
私は議員であり、政務調査費に関してはよくわかっていたのではないか、というご指摘もあるかもしれませんので、以下に説明を付け加えます。
20年度政務調査費については、議会で検討会を設け、非公式な形ではありますが22年4月2日、5日に個々の議員の報告書や領収書を点検し、その結果を議長が四月中旬から下旬にかけて議員全員に書面で知らせています。私は不適切な支出はこの検討結果を受けて個々の議員により訂正あるいは返還がされることを期待していました。しかし訂正・返還などの状況を確認するためには、さらにそれについての情報公開手続きが必要で、時間がかかりました。自主的に訂正や返還をした議員に対して監査請求をすることは避けたかったからです。その確認をしたうえで、公金を不適切に使ったままにしている事案について監査請求をした次第です。