青梅市職員の採用試験  公平公正か?  7年間の調査記録

きっかけ

私が大学4年生の時、ある議員(青梅市ではない)の親族から「市役所の採用試験を受けてくれれば」「あとはどうにでもします」という話があった。コネ採用の話であろう。私はそういうことが大嫌いなので、すぐに断った。それから何十年もあとの青梅市で「市民と市長との懇談会」に参加していたら、「情実採用の噂があるが本当か」と市長に質問しておられる方がおられた。それ以前から市職員の採用試験には疑問を持っていたので調べることにした。

調 査 結 果

1、長年にわたり青梅市の職員採用試験は総合点を出さず、合否が点数化されないまま決められていた。ここには市長または市の幹部の裁量が入る余地があったすなわち、たとえ特定の受験者に便宜をはかっても証拠が残らない仕組みだった、といえる。市長は政治家であり、圧力がかかる場合だってありうる。市長らの裁量が入る余地をなくす仕組みを作るべきである。

2、市長には人を通じて「採用よろしく」というような挨拶はあるそうである。関係ない、と断っているとのことだが、不正の依頼をするだけで有罪である。そういう働きかけがあった場合はすべて記録を残すよう求めたが、市長は記録しない、と言っている。

3、国分寺市では希望者には1次から3次までの得点順位及び総合得点と順位を合否通知とあわせて送付している。全部クリアに出し、合否を合理的に実証している。これを青梅市もやるようにと求めたが、市はそういう全面的情報公開はしないとのこと

 

当 時 の 職 員 採 用 試 験

一次試験・教養試験120分、適性検査

二次試験・小論文及び職場適応検査・面接試験

数十年ほぼ同じ形だそうである。面接試験がたった一回。市長・副市長・教育長らが並んで、約10分。(これには驚いた。面接回数が一度きりの自治体は都内では3つのみ。約10分で何を聞くのやら。竹内前市長は「自分が市長の間は絶対この方法を変えない」と言っていた)

調 査 方 法

・過去の採用試験の経過と状況、市内・市外からの受験者の数、男女の内訳も入れて、職員課に資料にしてもらった。情報提供という形である。以来その資料を毎年請求しているので、現在私の手元には平成11年~30年までの20年間分がある。

・最終試験の受験者の成績の結果一覧表があるそうなので、それを情報公開請求した。どんな表を市が作っているかは、担当課によく聞き取りをして、請求の手続きをする。無駄がないようにするため。

・ちなみに青梅市は請求後の情報開示まで非常に時間がかかる。条例では2週間以内、と定めているが、2週間ぎりぎりまで待たせる。仕事が遅いのか、先送りしているのか、不思議なことだ。昭島市などは3日程度で出している。これも議会で取り上げ、市も改善すると答えた。それでもまだ遅いと感じている。

手 に 入 れ た 資 料

職員採用データ20190213

↑これは一次から最終試験各段階の合格人数である。

職員採用データ結果表24年20190213

↑これは平成24年の合格・不合格の一覧表

黒塗りが多い。個人情報だからである。何が何だかわからない?

じっくり見てみると、あっ、総合点がない!!

地方公務員法では、市長らの裁量の余地をなくし、公正に合否は決めるべしと決められている。公正かどうかの証明として、すべての試験結果を点数にし、それを合計して総合点を出し、高得点から順番に採用することになっている。

ところが! 青梅市の採用合否は、総合点を出さないのである。どうやって採用者を決めたのか、が分からないのだ。

議会で取り上げた。総合点が明らかでないということは、市長や市の幹部の裁量・ひいきが入り込んでいても分からないという点を指摘した。

次の年平成25年(2015)の採用結果表を見てほしい。↓

職員採用データ結果表25年20190213

市長はさんざん抵抗したけれども、法に抵触するようなやり方を続けるわけにいかないと判断したのだろう。ようやく総合点の欄が加えられている。

しかし!  よく見てみると、論文の得点が総合点に入っていない!

論文への評価を加味して合格者を決めている、とのことである。そんなのは、透明性がまるでないのと同じだ。

これも議会で指摘し、2018年度から改められた。

山 梨 市 長 の 不 正 採 用 の 事 件

職員採用山梨市長不正記事20190214

2017年に山梨市長が採用の不正で逮捕された。山梨市の採用試験を青梅市と比べてみた。たいへん良く似ていた。一次試験は業者委託である。業者からは受験番号と得点のみを通知してくる。山梨市も青梅市もその業者からの知らせに、わざわざ受験者名を書き込み、市長に見せていた。山梨市長はそれを見て、合格ラインに入れたい受験者の点を水増しさせていた。青梅市長・幹部は名前付きの試験結果を見て合格ラインを決めていたそうである。

(青梅市では合格ラインは年により、上下する。何を基準にしているか不明)

これも議会で指摘。市は名前を書き入れるのをやめた。

 

効 果

繰り返し本会議と予算決算委員会で取り上げ続けた結果、2018年の採用試験から一挙に見直し、全国各地で一次試験が受けられ、公務員型ではない試験になった。また面接回数も複数回になった。